岩木先生のキーテクノロジー / Key-technologies

イオンビームテクノロジー

様々なイオンビーム照射により表面改質を行うテクノロジーです。イオンを、いわば小型加速器により加速してターゲット(資料)に打ち込みます。照射するイオン種やエネルギーにより、イオンが注入された表層の性質が変化し、有益な効果を得ることができ、様々な工業、医療、科学分野に広く応用されています。



表面構造解析と硬質皮膜創成

カーボンは組織構造(結晶質や非晶質)によりさまざまな性質を発現します。地球上で最も硬いダイヤモンドから剥離し易いグラファイト、そしてトライボロジー特性を変化させ硬質皮膜として広く利用されているDLC(ダイヤモンドライクカーボン)皮膜まで、さまざまな存在形態があります。岩木先生はこの3つの形態を”おむすび”図として解説・展開され、新技術開発や普及に貢献されました。



キーテクノロジーの流れ

イオンビーム照射技術を用いた臨床使用可能な人工硬膜、動脈瘤治療用材料の研究

理研ベンチャー認定企業 (株)メディカルイオンテクノロジー
医療用高分子材料(ePTFE)にイオンビーム照射することで髄液漏れを防止する人工硬膜、破裂を確実に防止する脳動脈瘤治療用材料を開発し100 例以上の研究的臨床試験に成功しました。

<開発技術>
イオンビームを高分子材料に照射すると、アモルファス・カーボンを形成し、これを細胞が認識して接着することで組織適合性が格段に向上します。医療用ePTFE にイオンビーム照射を行い、生体外組織適合性実験、物性評価、100 匹を超える動物実験によって硬膜補修材、動脈瘤治療用材料として評価し、脳髄液の漏れ防止、動脈瘤の破裂防止効果を確認しました。

<効果>
ePTFE にイオンビーム照射を行い、東京女子医大脳神経外科にて経鼻的下垂体腫瘍摘出手術および未破裂脳動脈瘤、破裂動脈瘤の治療で100 例以上に使用し、術後髄液漏および動脈瘤の破裂をほぼ完全に防ぐことができました。

現在、ペンタックス株式会社と人工硬膜、脳動脈瘤治療用材料の商品化を行っています。


メディカルイオンテクノロジー



関連記事:理研ニュース
「イオンビーム照射で人工硬膜の生体適合性が大幅に向上−脳外科手術後の髄液漏を防ぎ、動脈瘤治療にも有効な新手法−」


DLCコーティング技術・装置の研究開発
ナノテック(株)

<DLCとは>
カーボン(炭素)材料は原子間の結合形態が多様で、合成条件によって最も硬く熱伝導にすぐれた材料であるダイヤモンドや耐熱、潤滑特性にすぐれたグラファイト、ガラス状の緻密なグラッシーカーボン、また最近話題のサッカーボール型の結晶フラーレンなどさまざまな結晶構造で広く使われています。DLC(ダイヤモンドライクカーボン)はイオンを利用した気相合成法により合成されるダイヤモンドに類似した高硬度・電気絶縁性・赤外線透過性などを持つカーボン薄膜の総称で1970年代に命名されました。DLC膜の構造は通常水素を若干含有した非晶質(アモルファス)構造でダイヤモンド結合やグラファイト結合などを持つものと言われています。

<DLCの製法>
DLC膜は高真空中でのプラズマプロセスであるイオン化蒸着法により成膜されます。
真空チャンバー中にベンゼン(C6H6)ガスまたは他の炭化水素ガスが導入され直流アーク放電プラズマ中で炭化水素イオンや励起されたラジカルが生成されます。炭化水素イオンは直流の負電圧にバイアスされた基板(コーティングされる製品)にバイアス電圧に応じたエネルギーで衝突し固体化し成膜されます。非平衡プラズマを用いるため成膜時の基板温度は通常200度C以下です。

<DLCイオン源模式図>

<DLC膜のトライボロジー特性>
DLC膜はアモルファス構造のため結晶粒界を持たないため窒化チタンなどの多結晶構造の硬質薄膜と比べて非常に平滑な表面をしています。AFM(原子間力顕微鏡)で見た4ミクロン四方での平均表面粗さは7オングストロームで窒化チタンでは110オングストロームでした。こうした表面平滑性とカーボン材料としての物性がDLC膜に優れた摩擦摩耗特性(トライボロジー特性)を付与していると考えられます。


<DLC膜の実用例>
アルミ缶製造用金型・治工具
  フランジ加工用スピンローラ
  プリンターマンドレル
  ネッキング加工用ダイ
  搬送ガイド

DLCコーティングは金型・治工具表面へのアルミの凝着によるビルドアップを防ぎ工具寿命を5〜50倍延ばすとともに保守サイクルの大幅な延長を達成し生産性の向上に画期的な効果をあげています。また潤滑剤が使えないところや水溶性潤滑剤を用いるところへDLCコーティングが潤滑耐摩耗膜として使用さています。

半導体製造用金型・治工具
  リードフレーム曲げ・抜き金型
  コレット
  ポットプランジャー
  リードカッター
  パイロットピン

ハンダめっきされたリードフレームの曲げ型においては従来ハンダくずによる端子間短絡不良がありましたがDLCコーティングによりハンダめっきの金型表面への凝着が減少し不良率が飛躍的に改善されました。

セラミック粉末成形金型
  アルミナ粉末成形金型
  超硬合金チップ成形金型

DLCコーティングはアルミナや超硬合金などバインダーを用いた粉末成形において金型表面の鏡面性を維持し肌荒れを防ぐため成形品の品質が向上ししかも金型寿命が延長します。

ビデオカメラ部品
  VTRドラム
  VTRテープガイド
  VTRキャプスタン
  VTRテープ

DLCはVTRにおいて磁気テープと各種駆動機構部品(アルミ・ステンレスなど)の間の摺動特性を向上させ高画質化に貢献しています。

非球面ガラスレンズ成形金型
DLCコーティングはガラス溶融温度における金型の離型性を向上させるとともに高精度の転写性を要求される金型表面の鏡面を維持します。

アルミ積層板裁断刃
アルミの刃先への凝着を防ぎ切断面の品質を長期間維持します。

<DLCの適用母材と寸法>
膜厚
  通常 1ミクロン

適用可能寸法
  円筒状:標準200mm dia.×400mm max.
  (最大400mm dia.×3000mmまで特注にて対応 )
  板物:幅200mm 長さ3000mm 厚さ20mmまで
  円筒内面:特注にて穴径:厚さ=1:1まで対応(但し穴径による)

推奨材質
  超硬合金(WC-Co)
  合金工具鋼(SKH、SKD、粉末ハイスなど)
  ステンレス鋼(SUS304、SUS440Cなど)
  アルミ合金(50系、60系、70系など)セラミック(アルミナ、SICなど)
  ※他の材質はお問い合わせ下さい


関連技術を含め詳しくはナノテック(株)のホームページをご参照下さい

物質置換による表面改質技術開発
新世代加工システム研究所

<物質置換による表面改質技術>
メタルボンド砥石を電気的にドレッシングする際の電解現象を応用することにより、被加工材表面のさまざまな改質を同時に行うことができる新しい技術です。被加工面の酸化皮膜の形成と物質拡散/置換により、硬質化、トライボロジー特性の改善などができます。

<DLC膜との密着性強化>
上記の方法により改質された表面の特徴として、DLC膜との密着性強化を行うことができます。また、これらの表面処理のデスクトップシステム化を実現致しました。


関連技術を含め詳しくは新世代加工システム研究所のホームページをご参照下さい

松下電工におけるシェーバー刃の表面処理技術開発


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